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  • 2017.04.28

GK金沢コラム連載第143回!! 「柴田勝頼を信じて待つ」 #1

GK金沢コラム連載第143回!! 「柴田勝頼を信じて待つ」

脳の手術をしたGKだからこそわかる柴田の現状とは?
 新日本マットで怪我人が相次いで出ている。おそらく他団体でも怪我でリタイア状態の選手はいるのだろうけど、そこが新日本だから大いに目立ってしまうのだろう。そこを指して、負の連鎖であるとか、すべてを一緒くたにして書く気は毛頭ない。ここで問題提起のように語るつもりもない。

 ただ、今回、あの飯塚高史が左足首骨折によりシリーズ途中欠場というニュースを聞いて、また驚いた。怪我を負ったときの状況がわからないのでなんとも言えないのだが、ひたすら暴れて狂乱ファイトのかぎりを尽くしているようにしか映らない飯塚であっても、ひとつ間違えると大怪我を負ってしまう。

 それが、プロレスのリングの怖さなのだろう。私と業界同期にあたる飯塚に対しては、他の人にはわからない思い入れが存分にある。しっかりと治して復帰を目指してほしい。

 一方、3・3沖縄大会の試合中にリング上で動けなくなってしまった本間朋晃。中心性頸髄損傷という重傷に見舞われ、現在、大阪府内の病院に入院中。本間に関して、私はこれまで当コラムでも自分のアメブロでもまったく触れていない。というのも、タイミングが悪かったからだ。

 今年1月末に脳腫瘍摘出手術を受けた私が退院してきたのは、3月2日のこと。正直、入院中は仕事のことを考えないようにしていた。タブレットを持参していたから『新日本プロレスワールド』や『WWEネットワーク』を観戦することも可能だった。だけど、まったくその気になれない。日替わりで体調は変化するし、1日中検査で引っ張りまわされ疲れきったりで、決して暇な入院生活ではなかった。つまり、まったく心に余裕がなかったのだ。
 そんな状態からようやく退院してきた翌日に本間が大怪我に見舞われた。申し訳ないことだが、自分自身のリハビリで頭がいっぱいだったから、本間のことを思い遣る余裕もなかった。

 そこから、もうすぐ2カ月。私自身はなんとか日常を取り戻したし、肉体だけではなく心のリハビリも終わった感がある。まあ、よく言えば「心のリハビリ完了」であり、悪く言うなら「喉元過ぎれば熱さを忘れる」なのかもしれないが……(苦笑)。

 そこで、本間だ。27日発行の東京スポーツ紙(以下、東スポ)の終面に、入院中の本間の様子が写真付きで大きく掲載された。自力で立ち、笑顔で“こけしポーズ”を見せる本間の絵を見てすこし安心した。現在リハビリ中だが、まだ右手の動きが悪いともいう。

 それを読んで思い出したのが、中心性脊髄損傷という同じような重傷を負いながらリング復帰を果たした中西学のこと。中西が怪我を負ったのは2011年の6・4京都大会だった。入院中に葛藤しながらも、決断して手術を受けたのは同年の10月7日だった。私が都内の病院に中西を見舞ったのは、たしか9月末だったと記憶している。

 そのとき転倒防止用の杖を突きながらも、中西は自力で歩いて、私と友人を談話室まで招いてくれた。

「悩んだんですけど、首にメスを入れることにしました。やはり復帰するためには、そこを決断しないといけないんで。このことはまだ内緒でお願いしますね」

 結果的にオペは成功し、中西は過酷なリハビリを積んで、翌2002年の9月に復帰した。手術から1年を要したことになる。

 本間は、「目標がないと僕は生きていけない。遅くとも(年末の)ワールドタッグリーグには復帰したい」という目標を掲げている。その心意気はよしとしたいが、焦りは禁物だ。

 中西の場合、怪我から復帰戦まで実質1年4カ月も要したのは、復帰を焦ってリハビリというより、トレーニングをしてしまったことも要因としてあるからだ。1年休んだところでファンは本間を忘れるわけがない。だから1年後の来年3月復帰を目指して、リハビリに励んでほしいと思うばかりである。

 もうひとつ、それが原因かどうかわからないのだが、本間の“こけし”という技はかなりリスクを伴う技だと思う。とくに、トップロープから飛ぶダイビングヘッドバット式のこけし。ご存知の通り、両腕を身体に付けた状態で飛びこむから前受け身の体勢がとれない。

 無論、私はレスラーではないから、自爆したときのダメージの度合いはよくわからない。ただ、昔こんな経験をしたことがある。20年ほど前、新日本プロレスがシリーズオフのとき、『週刊ゴング』の企画としてエル・サムライの特写&インタビューを行なったのだ。

 サムライは新日ジュニアのトップの一角を担う存在であったが、無口なためインタビュー取材をする媒体など皆無に等しかった。ただ、私は個人的にサムライともよく会話する仲だったから、満を持してカラー4ページのインタビューを行なった。そのとき、もう10ページ分は作れるくらいの写真を撮らせてもらった。

 彼は人が良いから、なんでも要望に応えてくれる。オールドタイプから新型デザインまで過去使用した全種類のマスクを被っての撮影。やったことがないというのに、ロープ渡り。とどめは、ダイビングヘッドバットで宙を舞っている姿の撮影。ヘッドバットを受けてくれる選手などいないから、道場にあった練習用のダミー人形をリング中央に置いて、飛んでもらった。

 サムライはダミー人形にダイビングヘッドバットを決めるたびに、異常なほどに痛がっていた。「イテェー!」と漏らすと、両肘と両膝とお腹を押さえて苦悶する。結局、3回飛んでもらったのだが、3回目を頼んだときはあのお人好しのサムライが「エー、まだやるのぉー?」と不機嫌に口を尖らせていた。

「試合中は興奮してるから飛べるんですよぉー。お客さんの前だから、痛みを感じないし、たとえ痛くても技を仕掛けたほうも痛がっていたら笑われちゃうじゃない!」

 初めてサムライから、うん蓄のある言葉を聞いた。なるほど、それがアドレナリンが出ると痛みを感じないというやつなのだな、と理解した。たとえばムーンサルトプレスを得意とする選手は、ほぼ例外なく膝を壊しているが、それも同じなのだろう。
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